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SCHRIFT
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Studio News
Verbindungsstücke
つなぐモノ語り
Text by Ferdinand Ulrich & Edition Schrift
京都ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川のアーティスト・イン・レジデンス10周年を記念して、ディレクターのエンツィオ・ヴェッツェルとキュレーターのミヒャエル・ヒルシュビヒラーは、日独文化交流の「つなぐモノ」(ドイツ語:Verbindungsstücke)を過去に滞在した芸術家から募集し、展覧会を開催、そのカタログを制作しました。



ベルリン在住のタイポグラファー出雲利弥フェルディナント・ウルリッヒが、日独二ヶ国語の展覧会カタログ「つなぐモノ語り/Verbindungsstücke」のビジュアルコンセプトを担当しました。上から下へ、左から右へ、そして右から左へと、読む方向と書く方向が異なるということを利用して、遊び心満載で型破りなアプローチを軸にした二ヶ国語の書籍デザインです。カタログは、73枚のアーティストカードと60ページのエッセイ小冊子で構成され、2つの2方背スリーブケース 両サイド、もしくは上下が空いていて、中身がスライドして取り出せる本の箱のこと。に挟まれています。表紙は、ファッション・テキスタイルデザイナーナリ・ハーゼのカラーコンセプトに基づき、Die Lettertypenのダニエル・クロッツが印刷を担当しました。



本文はすべてアレッシオ・デレーナの『Laica』(Dinamo)と片岡明の『丸明Katura』(砧書体制作所)で組まれています。レイアウトは、どちらかの言語に偏ることなく、また一方の言語のタイポグラフィを他方に押し付けることもしておりません。むしろ、それぞれのレイアウトがそれぞれの言語に適合し、お互いを補完するように慎重に調整されています。さらに、見出し用書体の『Ribaasu』は、2つの言語をつなぐ重要な役割を担っています。このプロジェクトには、タイプデザイナーの廖恬敏(リャオ・テンミン)が、未発表ながらすでに受賞歴のあるこの書体を提供してくれました。『Ribaasu』は、漢字、カタカナ、ひらがな、そしてラテンアルファベットを収録する書体です。

カタログの写真はすべてノーマン・ポッセルトが撮影し、カタログはベルリンの出版社Wasmuth & Zohlenから入手可能です。



カタログには「表」と「裏」がなく、表紙の見出しと背表紙が縦書きと横書きで2つあります。つまり、両方が表となっています。

3つのカバーのカラーパレットは、テキスタイルデザイナーのナリ・ハーゼがColorplanコレクションのLockwood Green、Lavender、Factory Yellowを選出しました。ダニエル・クロッツがハイデルベルクシリンダーで凸版印刷し、写真ではみにくいかもしれませんがカバーは印圧により凹凸のある仕上がりとなっています。



アーティストはヴィラ鴨川に滞在中、四季にちなんで名付けられた4つの部屋に滞在します。アーティストカードに記された四季はこの滞在した部屋に基づき配置されています。



一方の言語のタイポグラフィを、もう一方の言語に押し付けることはせず、それぞれの言語に合ったレイアウトで、お互いを補完するように慎重に調整されています。



Art director: typographer Ferdinand Ulrich
Art director: typographer Toshiya Izumo
Photo editor: producer Daniel Klotz
Color advisor: Nari Haase
Curator: Michael Hirschbichler
Photographer: Kazuo Fukunaga
Photographer: Yukie Beheim
Publisher: Wasmuth & Zohlen
Client: Goethe Institute Kyoto

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